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沼波先生による講義 ネックグラフトについて

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沼波先生による放課後エクステンションプログラムの講義2回目が実施されました。

1回目の講義様子はこちらをご覧ください。
blog.daikanyama-ongakuin.com

今回のテーマはネックグラフトについてです。

ネックグラフトとは?

ネックグラフトとはバイオリンの修理技術の1つで、何かしらの理由で楽器のネックを交換する際に、元々ついているスクロール(渦巻き)を残しつつ、それ以外の部分を新しくするという技術です。
いっそうのことスクロールごと作り変えてしまったほうが手間はかからないのですが、極力オリジナルを尊重するというバイオリンならではの技術と言えるでしょう。

このネックグラフトをしなくてはいけないケースは大きく分けて2つあります。
1つは長年の使用で手が当たる部分が著しく減ってしまった、など使用経過での消耗や故障が起き対処で必要な場合、もう1つは歴史的な楽器の変革で必要な場合です。

今回の講義では後者についても触れましたので簡単に解説します。

ネックグラフトが行われる歴史的な理由

ストラディバリを始めとする巨匠たちが活躍した17世紀後半~18世紀前半以降は、音楽の多様化に合わせ、求められる楽器の形も徐々に変化をしていきます(弦の素材、指板やネックの形状など)。彼らが製作した楽器の大半はそうした適応の過程で手を加えられ、現在一般的な作りの「モダンバイオリン」と呼ばれる形に変えられています。
このモダンバイオリンへの改変の中で一番大きな変化はネックの仕込み方でした。ストラディバリの時代、楽器のネックが本体に釘で固定されていたのに対し、モダンバイオリンのネックは本体にはめ込むように接着されています。

モダンバイオリン化をする際、元のネックは寸法が足りないため新しく採寸したものに付け替える必要があるのですが、ここでオリジナルのスクロールを残す選択をするならばネックグラフトの行程は欠かせません。

今回の講義では、時代ごとのネックの仕込み方の違いの特徴説明があり、実際にネックグラフトの手順の説明もありました。
単純にスクロール部分だけを継げ替えるとはいいましても、かなりの負荷がかかる部分なので接着面となる箇所はしっかり合わせてある必要があり、やり方もその時々のケースに合わせ柔軟に変えていく必要があります。

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終わりに

講義の過程で沼波先生から「修理を極めるなら、製作も極めなければならない。」という言葉がありました。何気なく発せられたのかもしれませんが、今でも製作・修理両方に取り組んでいる沼波先生から、これからそれぞれの専門性に進路に進んでいく学生へのエールとも受け取れました。
まだまだ続く沼波先生の講義、次回も興味深いですね。