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島村楽器テクニカルアカデミー 公式ブログ

音楽技術専門の学校『島村楽器テクニカルアカデミー』の公式ブログ!音楽の職業・仕事を探す人は必見!

ギターエンジニア特別講義!Vol.5 「河野ギター製作所 桜井正毅氏」

ギタークラフト&リペア科 ギターエンジニア特別講義

皆さん、こんにちは!

今回は、大好評を頂いております「ギターエンジニア特別講義」第五弾の模様をお届けします。

今年度最初の特別講義は、日本のクラシックギターの代表的製作者、「河野ギター製作所」より、桜井正毅氏にご登場いただきました。
桜井氏は、1960年代よりギター製作の道に入り、現在に至るまで伝統と革新を合わせたギターを生み出し続けています。

詳しくは →河野ギター製作所

今回の講師 桜井正毅氏 プロフィール

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  • 1944年 東京で生まれる
  • 1967年 上智大学電気電子工学科卒業。同時に河野ギター製作所に入社
  • 1988年 第四回パリ国際ギター製作コンクール第一位


創始者、河野賢と30年以上に渡り制作活動を行う。河野賢のデザインを継承しつつ独自のデザインを展開し、桜井ブランドを確立する。

それでは講義を見て行きましょう。

クラシックギターとは?

まず最初に「クラシックギター」の概念について、以前BSで放送された映像(「超人」というタイトルで桜井氏が特集されたもの)を交えながら講義して下さいました。
「小さなオーケストラ」とも呼ばれるギターの奥深さや表板・ヘッドが振動する様子など、普段中々見る機会の少ない映像に学生達は釘付けで、講義後には「あんなにヘッドが動いているなんて思っていなかった」といった感想を興奮気味に話していました。

桜井氏はギターを製作する上で大事にしていることの一つとして“バランス”を挙げていました。そのバランスを得る為に力木に工夫を加え、今の形になったそうです。こういった変化は様々な測定器が使えるようになってからのことで、近々10年ぐらいで大きく変化していったと仰っていました。ちなみにクラシックギターの本場、スペインでは今でも伝統的な力木(トーレス流)が主流だそうです。また、桜井氏は大学との共同研究も行っており、良い音を出す為に科学的な実験も取り入れ、研究に余念がありません。

木材の重要さ

続いて工房での作業を動画で紹介して下さいました。「音に影響の少ないところなどは機械で加工するが、最後は人の手が必ず加わる」というところが印象的でした。
他にも「接着はニカワ」、「力木の接着は竹を利用」など、こだわりの製作工程が満載でした。中でも「くさびを使ったバインディング接着」というのは、講師の私も初めて見たのでとても興味深いものでした。

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動画の後は木材についての講義でした。表板や横板・裏板に対するこだわりも当然あって、桜井氏は後世に残す為もあってかなりの数の木材をストックしています。
表板は木材の目の詰まり具合に相当こだわっていらっしゃるようで、密度の高い木材を選別して使用しているそうです。全て海外からの輸入材で日本の木材は使わないとのことでしたが、日本は樹木にとって環境が良すぎて目の詰まっていない木材になってしまうからだそうです。厳しい環境に育ってこそ良い音を奏でられるのですね。
木材の乾燥にも当然の如くこだわっておられて、入荷してから最低でも10年は寝かせてから使用しているそうです。以前の工房訪問時の記事でもお伝えしましたが、工房内もエアコンで温度・湿度を一年中コントロールしていて、繊細なギターの精度を更に高めています。

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学生へのメッセージ!

続いて学生の作品を見て下さいました。作品はまだ製作途中で実際に音を出せなかったのが残念ではありましたが、力木の配置やライニングについて、色々とアドバイスをいただきました。厳しく指摘された部分や偶然のことではありましたが褒められた部分など、学生にとって初めて作るクラシックギターで、このようなお話をいただけたのは、今後の大きな糧になるでしょう。

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最後には学生からの質問にも気さくにお答えいただきました。

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如何でしたか?

普段はエレキギターアコースティックギターを製作したり修理したりすることが多い学生たちですが、クラシックギターの奥深さや桜井氏の人柄に触れ、感じることも多かったと思います。今回の講義を通して学んだことを今後の技術に活かし、活躍できるように頑張りましょう!!
桜井社長! 今回は貴重なお話ありがとうございました。



代官山音楽院・ギタークラフト&リペア科では、今後も様々な技術者をお招きしてこのような特別講義を開催していきます。次回もお楽しみに!!