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技術研修会に参加しました~今出川寛氏 講演会~

こんにちは。ピアノ調律科の田島です。
9月24日(水・祝)代官山音楽院ホールでは、一般社団法人 日本ピアノ調律師協会主催の技術研修会が行われ、ピアノ調律科の本科・夜間科の学生も参加させていただきました。
今回行われた研修内容は、ピアノハンマーメーカーの第一人者、今出川ハンマーの今出川寛氏による講演です。
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ピアノは鍵盤を弾くと指の動きがアクション(音を出す為の部品)によってハンマーに伝えられ、ハンマーがピアノ弦を叩いて音を出します。
ピアノの音色にも大きく関わっているハンマー。ピアノ最盛期では世界のピアノの1/5が今出川ハンマーと言われています。
今出川ハンマーは昭和12年、静岡県浜松市に創業。最新の技術と長年の経験で、念入りに作られたハンマーの品質は国内外のピアノメーカー、修理業者など広く業界に認められています。



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研修会にはたくさんの方が参加されました。


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こちらはハンマーの材料にもなっているフェルトです。
フェルトは羊毛から作らており、長い羊毛と短い羊毛をバランスよく組み合わせ、熱・水分などで絡み合わせたり、圧力をかけて縮絨していきます。


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3枚のフェルトを比べているところです。
今回は特に硬さに差のあるフェルトを持ってきていただきました。
材料や縮絨の行程の違いで硬さにも大きく影響が出るそうです。生き物である羊毛の状態は常に一定ではなく、その年によって収穫できる地域、気候などが違うため、羊毛の状態合わせてフェルトを作ることはとても難しいのです。
また、フェルトの切断はお客様の要望に合わせて一つずつ手作業でハンマーの幅にカットしていきます。手作業で行う理由としては、実際に刃の通りを確認してハンマーの硬さを決めるプレス(圧縮)の強さを決めたり、刃が常に切れる状態であるか確認するためです。


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続いてはハンマーウッドとなる木材についてです。
ハンマーウッドは主にシデ材・マホガニーなどから作られています。
ピアノに使われている木材は、約3年もの間自然乾燥をして、その後人工乾燥でさらに含有率を下げ(木材に含まれている水分の割合)、狂いや割れの少ない木材にしていきます。
ハンマーの形になる前の一枚板の木材を実際に見て触れているところです。


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出川氏が持っているのはハンマーフェルトをハンマーの幅に切る前の状態です。
先程ご紹介したハンマーウッドにこのフェルトを接着します。


今回は研修の様子を抜粋してご紹介しましたが、この他にもさまざまな内容の講演、参加者からの質疑応答がありました。
最後に今出川氏がおっしゃっていた
「ハンマーを作ること自体は簡単だが、アイディアを出すことがとても難しい。アイディア次第でハンマーの品質が良くなっていく。」
という言葉がとても印象的でした。

代官山音楽院の学生達は、機能と構造の講義でピアノの材料や作られる工程について学んでいましたが、研修に参加したことで更に詳しくハンマーについて学ぶ機会となりました。
今後、一年生はハンマーのファイリング、二年生は整音実習がありますので、この研修で学んだことを思い出しながら実習に臨むでしょう。