島村楽器テクニカルアカデミー 公式ブログ

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管楽器リペア技術録No.3~サックスネックコルク交換~

7月に入って、梅雨のためジメジメとした天気が続いていますね。
中、高校生の皆さんはコンクールに向けた練習が本格的になってきた頃だと思います。
体調に気を付けて悔いのないコンクールになるよう頑張ってほしいと思います。
代官山音楽院ウィンドオーケストラもコンクールには出場しませんが毎週頑張って練習をしています。

さて、今回ご紹介するのは比較的修理が多い、一般的な物を紹介したいと思います。
内容はサックスのネックコルク交換です。
ブログの最後には超重要なお知らせもあります。
最後までしっかり読んでください(笑)

さぁ本題です。
ネックコルクはマウスピースとネックを固定するサックスにとっては重要な部品です。

今回は古いコルクを剥がすところはスペースの関係もあるので割愛させて頂きます。

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コルクを除去したら貼り付け作業です。
使用するコルクは我々が天然コルクと呼んでいる物を使用するのですが、修理用に市販されているコルクは、
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この様なシート状でかなり大きなシートです。
厚みは一般的に1.5mm厚の物を使用しています。
これを各楽器に合わせたサイズにカットする所から作業が始まります。
カットは『片刃』と呼ばれるカミソリの刃です。
私は中国・台湾・香港・ベトナムなどのアジア圏や、アメリカ、ドイツなどの修理工房に行きましたが、カミソリの刃を使ってのコルクカットはメジャーな技術の様です。

楽器に合わせてカットしたコルクシートは、下写真の様な感じです。
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ちなみに、私は仕事の関係で1回に10本程度のネックを同時に作業しているので一度に大量のコルクシートを真ん中の写真の様にカットしてストックしています。
サイズ調整の最後は一番右の写真(赤丸内)のような『のりしろ』の加工です。
実は意外に難しいのがこの加工です。
のりしろが欠けてしまうと仕上がりが悪くなったり、後々の破損(剥がれ)というトラブルに繋がるのでかなり重要な作業になります。

次はコルクを『なめす』作業です。
よく皮製品の加工で『なめす』といいますが、天然コルクのシートはそのままだと硬く曲げると割れてしまうので、
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写真の様に丸棒で潰して柔らかくする必要があります。
この作業は他にも重要な役目があるのですが、ここでは難しくて書けないので割愛しましょう。

今度は管体側の加工です。
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左の写真はコルクを剥がしただけの状態です。
そして、右の写真は、接着力を上げる下地処理を施した管体です。
細い線状の傷が沢山ついていますが(少し分かりにくいかも・・・)、ここがミソです。
最近は工場出荷の状態でこの作業をしているメーカーさんも増えています。

さぁ、管体にコルクを貼り付ける作業です!

と、その前に私のコツです。
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バーナーで温めた管体にコルクを押し付けて型を付けます。
いわゆるアイロンがけです。
これを行うと右写真の様にコルクが丸まって、貼り付けをしている際に割れにくくなります。

さぁ、今度こそ貼り付けです。
管体とコルクの接着面に接着剤を塗ります。
簡単に言うと接着剤を塗るだけですが、ここにネックコルク貼り付けの大きな壁があります。
まずネック、続いてコルク、更に貼り合わせ面ののりしろ。
これを素早く、薄く、均一に塗って貼り付けをしていきます。
厚く塗ってしまうと接着不良を起こします。
もちろん塗れていない部分があったり時間がかかって乾いてしまえば、全てやり直しです。
塗ったら、素早く貼り付けです。

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通常コルクの貼り付けには両面塗りという接着剤の塗り方をしていますが、この接着方法はとても接着力が強いという利点があるのですが、一度貼ってしまうと剥がして位置の微調整が出来ないという難点もあります。なので、貼り付けは一発勝負です。

貼り付けが終ると、次は余分なコルクの処理です。
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写真の様にカミソリを使って余分な部分だけを切り取って行きます。

ここまで来ると作業も佳境です。
カットした部分は段差になっているので、この部分をサンドペーパーを使用して丸く曲面に加工します。

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写真の様に繋ぎ目の処理を行ってから、全体的に研磨して表面を綺麗に仕上げます。
全体的に処理が終わったら、最後にマウスピースに対する厚みの調整です。
マウスピースのシャンク径は各メーカーで様々ですし、使う人によって好みの硬さが違ってきますので、どのようなマウスピースを使用しているか等の情報もしっかりチェックする事が必要になります。
最終的にはグリスを塗るので、それを考えての調整を行います。

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ここまで来ると後は仕上げです。
はみ出た接着剤を綺麗に落とし、コルクには薄くコルクグリスを塗ります。
この時、最終的なマウスピースへの組み付けチェックを行います。
問題が無ければキイオイルを注してオクターブキイを組み付け、本体とのバランスの調整を行い作業は終了となります。

この様にしてサックスのネックコルクの貼り付けを行っています。
人によってはとても難しく思われる方もいると思います。
逆に、一般の方でも自分で交換を行っている方もいらっしゃいます。
コツとポイントを掴めば、意外に誰でも出来る作業なのです。

と!!
ここまでは、完全なフリです。
今回紹介した、ネックコルク交換を、
理論的に学び!
代官山音楽院の講師が手本を見せて、フォローして!!
自分で実際に練習をして!!!
更に最終的に自分のサックスのコルクを自分の手で交換する!!

こんなイベントが、この夏!代官山音楽院で開催されます。
詳しくはこちらから。

開催日は平日ですが、夜間科の授業時間帯での開催ですので、お仕事終わりからの参加が可能になっています。

過去に自分で挑戦してみたけど失敗した事がある方、
大好きなサックスに何か自分自身で手を入れて、もっと愛着を持ちたいと考えている方。

代官山音楽院へ入学して将来楽器の修理技術者を目指したいと思っているけど、自分に技術が出来るか不安に思っている方。

夏休み最後の記念に是非参加を検討してみてください。
お待ちしております。

blog.daikanyama-ongakuin.com