読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

島村楽器テクニカルアカデミー 公式ブログ

音楽技術専門の学校『島村楽器テクニカルアカデミー』の公式ブログ!音楽の職業・仕事を探す人は必見!

管楽器リペア技術録No.2~旋盤①~

管楽器リペア技術録 管楽器リペア科

こんにちは。
技術に特化したブログも今回で4回目。
今回からは新章スタートという事で、修理という観点からちょっと外れて、
修理に使う特殊な機械にポイントを当てて紹介したいと思います。
※結局は修理も紹介しますけどね。

今回紹介するのは管楽器の修理に使用する機械類で最も大型な機械のひとつ、『 旋盤 』です。
いわゆる切削機械なのですが、人間の目測などに比べて材料を『正確』『短時間』で加工できる点がこの工作機の大きな特徴です。
旋盤という工作機械は一般的に刃物を回転させて切削する他の工具(ボール盤や電動ノコギリ)とは違い、
通常材料を回転させて切削をします。
その為、旋盤で加工する物の多くは円形物(円筒形やパイプ形状)となります。

写真をご覧下さい。

f:id:daikanyama-ongakuin:20150324152401j:plain

これが旋盤という機械です。
黄色い丸が指している部分がチャックといって材料を固定する部分で、ここが回転する事によって材料が回転します。(今回はクラリネットの管体が取り付けられています)
更に青い丸で指している部分がバイトと呼ばれる『刃』です。

この様に、回転している材料に刃が当たるので、円運動で材料は円形に切削されます。
旋盤の種類には卓上旋盤と言って一般的な作業台の上において使用する小型のタイプから、
全ての動作をコンピューター上のプログラミングで全自動切削するようなタイプもあります。
もちろん値段も数万~数千万円を超えるようなものまでピンキリです。

代官山音楽院で所有している旋盤は全ての操作を手動で行うタイプの機械ですが、
管楽器でいうとフルートやクラリネットの管体を加工する事が出来るレベルの物を使用しています。

旋盤の技術はとても奥が深く、技術者のノウハウがとても重要な要素になっています。
機械の精度が飛躍的に向上した現代でも、機械加工を極めた技術者にコンピューター制御の機械は勝てないと言われています。
もちろん、超が付くほど高精度な部品などを造る時、大量生産する際の個体誤差を無くしたりする事に関しては、完全に機械の方が優位に立っていると思います。

ちょっと横道にそれましたね。
旋盤はそれを操作する人の創意工夫と、技術力で多様な使い方が出来ると言われています。
簡単にいうと決まった使い方は無いので危険が無ければ色々な使用方法があるという事です。
もちろん基礎はありますが、そこからは殆どが応用です。
回転スピードも、刃の当てる角度も基礎はあります。
しかし、その通りに行かない事も多々あり、技術者は経験でカバーして物を製作しています。

旋盤は小さいものよりも大きいものの方が切削の精度も作れるものの幅も広がります。
その為、学院では管楽器の管体を加工でき、工具の製作や加工が出来るレベルの機械を導入しています。
これでも重量は100キロを超えていますので1人では動かせません(笑。

さぁ、皆さん思い浮かべてみてください。
クラリネットの管体を!
フルートの管体を!
トランペットのマウスピースを!

そう!管楽器製作において旋盤は無くてはならない存在なのです。
修理の世界でも、破損した部品の製作や管体の様に精度を強く求められる材料の加工には、この旋盤がとても重要な役割を果たしています。
もちろん、工具製作でもとても活躍します。
学生に支給している工具の中には、管楽器用修理工具のメーカーから購入すると数千円から1万円近くするものがあります。
当学院では旋盤を使って支給工具の一部を製作したり加工して支給する事で工具購入コストを下げ、
少しでも多くの工具を支給できるようにしています。

もちろん修理にも存分にその力を発揮してくれます。
では!その修理をご紹介・・・・・
する前に、機械と言えばメンテナンスです。
お手入れをしない機械は思い通りに動いてくれません。
楽器と同じですよね。
まずはそのお手入れ(メンテナンス)です。

f:id:daikanyama-ongakuin:20150324154324j:plain

当学院の旋盤は購入してから約5年ほどが経っています。
上の写真はタイミングベルトと呼ばれるベルトで、右が新品、左が古いベルトです。

旋盤の何処にあるかというと・・・

f:id:daikanyama-ongakuin:20150331103200j:plain

ここです!!!見難いですね~(笑
写真内の赤い丸の部分がタイミングベルトです。

実は青い丸の部分は旋盤を回転させる為のメインモーターの軸なんです。
(モーターはこの奥にあります)
モーターが回転する事で青い丸部分の軸が回転します。

この動力を増幅させながら冒頭にあった材料を固定しているチャックに伝達させているのが、
先ほど紹介したタイミングベルトなんです。
当学院の旋盤は購入後、たくさんの学生の工具製作や加工を行いその他には修理品の部品や管体の加工、
授業で使用する教材の加工や修正の為に頑張ってきました。
当然酷使したベルトも部分的に劣化が進んでいたので、今回交換する事にしました。
交換には、普段楽器の修理には使用しない六角レンチやスパナなどを使用します。
殆ど車の修理です。
(ちなみに普段のメンテナンスや修理は普段、管楽器リペア科の講師が行っています)

続いての作業はこちらです。

f:id:daikanyama-ongakuin:20150324155541j:plain f:id:daikanyama-ongakuin:20150324155621j:plain

このベルトはVベルトと言って、メインの動力を他の部品に分岐する為のベルトです。
こちらも酷使してきて劣化すると、右の写真の様に繋ぎ目が切れてきます。
危険ですよね。
作業中に切れて怪我をしない様に、また何よりもお客様の修理品を加工している際に切れてしまうと取り返しのつかない事になる可能性があります。

この様に、オイルを注したりベルトの張りや劣化具合のチェックなど、使用毎に行うメンテナンスから定期的に行うメンテナンスまで、使う為には行なわなければいけない事が沢山あります。

さぁ、メンテナンスも終了したので、この旋盤には来年度も頑張ってもらいましょう。

ということで今回はここまで。

そして、次回のご案内。
次回は・・・・
折角なので旋盤を使用した修理をご紹介します!!

f:id:daikanyama-ongakuin:20150324171536j:plain

写真の様に、小学校や中学校の楽器、海外から中古として輸入されてきた楽器に多くある、クラリネットジョイント部分の欠損修正をご紹介します。
気になる詳細は次回!!お楽しみに♪

blog.daikanyama-ongakuin.com
www.daikanyama-ongakuin.com