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ギター解体深書 ~パーツの基礎知識 vol.2 「ブリッジ」

皆さん、こんにちは。

今回は前回の「パーツの基礎知識 Vol.1 マシンヘッド/ペグ編」に続き、「パーツの基礎知識 Vol.2 ブリッジ編」をお送りします。

ブリッジはマシンヘッド以上に種類が多く機能も様々です。また、モデルごとにサウンドのキャラクターがあり、単純に機能だけでは選べないパーツでもあります。
今回はエレキギターのブリッジに的を絞ってお送りします。

それでは早速どうぞ!

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・チューン・O・マティック

チューン・O・マティック(以下、T・O・M)は、1950年代にギブソン社で開発され、初めて搭載されたのが1954年に発売された“レスポール・カスタム”です。その後57年にモデルチェンジした“レスポール・スタンダード”にも採用され、エレキギター用のブリッジとして不動の地位を確立します。
初期のT・O・Mは“ABR-1”と言い、オクターブ・チューニングの可動域が若干狭いものでした。その為、ブリッジ自体を斜めに取り付けてあり、6弦側(太い弦側)がボディエンドよりになっています。
 また、弦高の調整が各弦ではできず、ブリッジ自体を傾けることで弦高を調整するため、指板のR(湾曲度)に制限ができるというデメリットもあります。

T・O・Mには弦を留める機能が無いため、テイルピースなどを併用することが必要になります。レスポールなどに取り付けられた“ストップ・テイルピース”が最もメジャーですが、他にもヴィブラート・ユニットである“ビグスビー・ヴィブラート”を使用したり、ボディの裏で留める方法などがあります。
特徴としてはヴィブラート機能がない分チューニングは安定しやすく、サスティーンにも有利です。また、ボディトップの形状(フラットかアーチ状か)に関係なく取り付けられるため、様々なタイプのギターに取り付けられているのも特徴の一つです。

T・O・Mやストップ・テイルピースは固定されているわけではないので、弦を外すと簡単に外れてしまいます。弦交換時はボディに落として傷をつけたりしないように注意しましょう。

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レスポールに取り付けられたT・O・M

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T・O・Mはフルアコにも使われ、時にはフラットトップにも使われることもあります


・シンクロナイズド・トレモロ・ブリッジ

 シンクロナイズド・トレモロ・ブリッジ(以下、シンクロ)はフェンダー社で開発され、1954年に発売された“ストラトキャスター”に搭載されたヴィブラート機能を持ったブリッジです。現在では各社ストラトタイプのギターに取り付けられ、ヴィブラート・ブリッジとして確固たる地位を得ています。

 シンクロは、フェンダー社が世界初の量産型ソリッドボディ・エレクトリックギター“テレキャスター”の後継機を開発していく中で、ギタリストから要望の多かった「ヴィブラート機能を持たせて欲しい」という声を具現化したもので、それまでのヴィブラートユニットとは違う、全く新しい構造を持っていました。
特徴としては、6点式のナイフエッジ構造にすることでブリッジを動かしたときの摩擦を減らし、チューニングの安定度を飛躍的に高めている点が挙げられます。また、ブリッジサドルは各弦でのオクターブ調整はもちろん、弦高調整も個々の弦で可能になり、それまでのブリッジとは一味違った機能性を持っています。

 ブリッジ・プレートの下に取り付けられボディの裏まで貫通している金属製のブロックは“イナーシャ・ブロック”と呼ばれ、テイルピースとしての機能だけでなく、裏側のバネを引っ掛ける機能も併せ持っています。更には、イナーシャ・ブロックはサウンド面でも大きな影響があり、サスティーンを得る為に苦心の末に生み出されたものなのです。

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まさに機能美!

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ブリッジを裏から見るとナイフエッジの構造がよく解ります


・フロイド・ローズ・トレモロ・ブリッジ

 フロイド・ローズ・トレモロ・ブリッジ(以下、フロイド)は、ギタリストでもある“フロイド・ローズ氏”によって、70年代後半に生まれました。80年代に入ると“エディ・ヴァン・ヘイレン”や“ブラット・ギルス”が使用したことで人気に火が付き、ライセンス生産も含めて現在も多数のモデルに搭載されています。

 フロイドはシンクロを発展させたような形を持っていますが、“弦をサドルでロック”させ“2点式のナイフエッジ方式”を採用することでシンクロ以上にチューニングが狂いにくい構造になっています。また、ボディトップに落とし込みを付けることでアームダウン・アームアップの幅を広げていることが多く、数あるヴィブラート・ユニットの中で最も大きな可変域を持っていると言えます。

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 ここで突然ですが、このフロイドを愛して止まないギタークラフト&リペア科の学生、塚田君(20)に緊急インタビューをしました。

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Q、これまでのフロイド遍歴は?
kramerのヘッドクラッシャー
   ↓
タケウチのコピー品
   ↓
MISICMAN AXIS(ゴトー GE1988T)
   ↓
FloydRose Original(カッコイイ!!)

Q、なぜフロイドを好むようになったのか?
 「やはりフレットの限界の先にある音を見てしまったからです。左手だけでなく右手を使い音に命を吹き込むのです。」、「あとは“VAN HALEN”が大好きだからです」

Q、今欲しいフロイドは?
 「FRT-3(オリジナル)!!」

Q、最後に、ずばりフロイドの一番の魅力は?
 「強そうなルックス。狂わないチューニング。そして80'sハードロックのシンボル的な所です」、「トレモロ・ブリッジの一つの完成形=フロイドローズです。」

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如何でしたか?

 今回は数あるギター用ブリッジの中でも代表的な三つを取り挙げました。このほかにもたくさんのブリッジがありますが、それぞれ機能やサウンドを考えて作り出されてきました。どういったブリッジを使うかである程度そのモデルの方向性が見えることもあります。調整方法も様々あり一筋縄ではいかないブリッジですが、今後も新しいものが生み出されていくことでしょう。


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 次回はパーツの基礎知識・第三弾「ピックアップ」を予定しております。
ブリッジ以上に数の多いピックアップ…。基礎構造も含めた内容でお届けする予定です。お楽しみに!!