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島村楽器テクニカルアカデミー 公式ブログ

音楽技術専門の学校『島村楽器テクニカルアカデミー』の公式ブログ!音楽の職業・仕事を探す人は必見!

ギター解体深書 ~パーツの基礎知識 vol.1 「マシンヘッド/ペグ」

皆さん、こんにちは。

今回の解体深書は「パーツの基礎知識」の第一弾として、「マシンヘッド/ペグの基礎知識」をお送りいたします。

マシンヘッドは、ギターの片端のヘッドに取り付け、弦を巻きつけチューニングする大事なパーツです。要は“糸巻き”のことで、ギターに限らず弦楽器には必須のパーツであり、メーカーやモデルが多数あり、機能も様々です。

そんなマシンヘッド/ペグの色々を解説していきます。
それではどうぞ!

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・ペグの歴史

古い弦楽器にはペグ(peg)と呼ばれる木製のパーツが糸巻きとして使われていました。この木製のペグは、テーパー状に削られた木材をこれまたテーパー状に穴を空けたヘッドストックに差し込み、そこに弦を巻きつけて固定するというものでした。差し込むだけですので固定は摩擦に頼っています。

これらのペグは木が材料になっていますので経年で変化しやすく、使用している間に磨耗していく為、常にメンテナンスが必要です。また、ギアを使用していないので、“1:1”の比(ペグを1回転したときに弦が1巻される)になっていてチューニングを合わせるのも難しくなります。
この木製ペグは現在でも、バイオリンやチェロといった弦楽器や一部のウクレレリュート等の古楽器・民族楽器にも使用されています。

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19世紀の中頃になるとギアを使用した金属性の糸巻き「マシンヘッド/Machine Heads」が登場します。この金属製のマシンヘッドは、ギアを用いているため小さな力で調弦することができ、木製ペグの“1:1”に対してより細かく調整することが容易です。

現在のギターの世界では、クラシック、アコギ、エレキを問わず、ほとんどがこのマシンヘッドを使用しています。機能も様々に進化していて、特にエレキギター向けのものは多種多様なものが市販されています。

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ここからはエレキギター向けの代表的な3つのマシンヘッドを紹介していきましょう。

●クルーソン・タイプ

最初に紹介するのは“クルーソン・タイプ”です。

クルーソン社が開発したタイプで、それまでの剥き出しだったギアにカバーを取り付け、しかもそのカバーが軸受けになっているのが大きな特徴です。カバーは密閉されておらず本体につめを曲げるような形で取り付けられています。この構造は生産性や信頼性の向上に大きく寄与していて、クルーソン社の“クルーソン・デラックス”は50年代からフェンダー社やギブソン社に採用され、エレキギターにとって定番のタイプになっていきます。このクルーソン・タイプは後述のロトマティック・タイプと比較すると軽量なことも特徴の一つです。弦の端、ネックの先端についていますので、マシンヘッドの重さが音質を左右するのは自明の理です。

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●ロトマティック・タイプ

ロトマティック・タイプは1950年代にグローバー社によって開発されました。クルーソン・タイプと大きく違うのは、ギアに密閉された蓋をして中にオイルやグリスを充填している点です。密閉されているのでほとんどメンテナンスフリーであり頑丈です。
また、つまみがネジで固定されていて、そのネジを回すことで回転のトルクを変えたり、つまみのボタンをオシャレに着せ替えることが容易なのも特徴の一つです。構造的に重くなりますが、その耐久性やサウンドで好まれる方も多いタイプです。

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●ロック式マシンヘッド

ロック式のポイントは弦をポストでロック(固定)している点です。ロックすることでポストへ弦を巻く必要が無くなり(原則として一回転以下)、チューニングが安定しやすくなります。また同じ理由で弦交換が手早く行なえるというメリットもあります。
ゴトー社製の“マグナムロック”やスパーゼル社の“トリムロック”などが有名ですが、弦の固定方法は各社様々です。ネジで弦を締め付けるものや弦のテンションを利用してロックするものなどがあります。

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※マシンヘッドの交換
ここまで3つの代表的なスタイルを紹介しましたが、それぞれの互換性はあまりありません。交換する場合は、たとえ同じタイプでもモデルが違うと木工加工が必要なことが多々あります。まったく同じものの交換以外はやはり専門家に任せるほうが確実ですので無理はしないようにしましょう。

いかがでしたか?

パーツの基礎知識・第一弾ということで「マシンヘッド/ペグ」についてお送りしました。マシンヘッドは弦を張るためには必ず必要であり、チューニングの精度・安定度にも大きく関わってくるパーツです。また、マシンヘッドの種類だけでなく配置でも影響があり、ギター全体の設計・コンセプトでも使用されるモデルは違ってくるとても重要なパーツの一つです。これを機にご自分のギターのマシンヘッドを眺めてみてください。また一段とMYギターが愛おしくなることでしょう。
 

次回は早くもパーツの基礎知識・第二弾「ブリッジ」をお届けする予定です。

お楽しみに!!