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ギターエンジニア特別講義!Vol.2「T's Guitars」

皆さん、こんにちは!


今回は「ギターエンジニア特別講義」第二弾、国産ハイエンドギター・ファクトリー「T's Guitars」編をお送りいたします。
第一弾に「フジゲン株式会社」の今福氏をお招きしたのに続き、今回のT's Guitarsからは、「高橋謙次氏」にお越しいただき、学生たちに向けた特別講義を行なっていただきました。
T's Guitarsは、長野県内の工房にて少数精鋭で良質なカスタムメイド・ギターを作り続け、今最も注目の国産ハイエンド・メーカーの一つです。高橋氏はそのT's Guitarsの代表取締役社長として、そして同社の“マスター・ビルダー”として"Buzz Feiten Tuning System"のインストールなど精度の高い技術を惜しみなく発揮されています。

今回の講師
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<プロフィール>
1961年長野生まれ
中学よりギターを弾き始め、高校からは音楽活動に傾倒する。
音楽専門学校で学びプロミュージシャンを目指すが、楽器という道具自体への興味も大きく、一時長野県内の工房に身を置く。
その後は楽器店勤務、またそれまでの経験を生かしてのアメリカ西海岸某工場でのリペア、メンテナンス経験を経て1987年、T’s Guitars設立。カスタムギター製作とリペアを主体にした業務を始める。
2003年には日本国内では初めてとなるBuzz Feiten Tuning System公認ショップとなり、同システムの普及に努める。


それでは早速講義の様子を見ていきましょう。


量産からカスタムメイドへ

まず始めにT's Guitars(以下、ティーズギター)の歴史についてのお話がありました。

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来年30周年を迎えるティーズギターですが、始まりは自宅の物置を片付けて作業場にしたそうです。前回のフジゲンは牛小屋からスタートしていますので規模は違えど何か共通するものを感じますね。
当時はバブル経済の後期で仕事はたくさんあり、それに応じるような形で"NCルーター"を導入するなどして規模を拡大していったそうです。
 
 そんな中、90年代の後半にターニングポイントを迎えます。なんと工房が火災で全焼してしまうのです。高橋社長はこの時は廃業も考えたと仰っていました。しかし、お客さんからの励ましや続けて欲しいという声を聞き一念発起、火事から4ヵ月後には工場を再稼働させます。それ以後は生産数を抑えて、一本一本の付加価値の高いギターを目指す、「クオリティ重視」の路線に変更したそうです。この路線は今でも継承されていますね。

2000年ごろからは、ウクレレアコースティックギター(アーチトップ・フラットトップ)なども手がけるようになるのですが、この頃に現在代官山音楽院・ギタークラフト&リペア科の講師である立沢先生も在籍し活躍をしていました。その他にも故Tak Sakashta氏とのコラボレーション(J・G・D)時の開発秘話など普段中々聞けない話に学生も私も興奮気味でした。

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歴史の後はティーズギターのギターに対するこだわり・特徴をお話いただきました。大量生産とはまた違う、工程を貫く意志や顧客とのつながりを大事にされていたり、材料の選別・乾燥にまつわるお話などどれも非常に興味深いものでした。シンクロナイズドトレモロ・ブリッジの調整に関する極意なんかも教えていただきました。

更には学生たちへ仕事に対するアドバイスがあり、先を「見通す」力や「スピリット」を吹き込む"ものづくり"を目指して欲しいという言葉で前半が締められました。

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学生作品プレゼンテーション

後半は前回と同じように学生作品のプレゼンからスタートしました。
学生は緊張した面持ちで自ら製作したギター・ベースの仕様やこだわりを発表していきました。高橋社長も手に取りながら一つ一つ丁寧にアドバイスをして下さり、学生たちも大いに勉強になったと思います。

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質問コーナーでは、Buzz Feiten Tuning Systemのライセンスに関する質問やOEM生産についての答えにくい質問などにも丁寧にお答えいただきました。

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講義後は、教室で学生たちの作業を見学され、現在製作中のギターなどにアドバイスもいただきました。

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いかがでしたか?今回の特別講義も2時間を超え、充実の内容でした。
高橋社長からは職人の雰囲気が感じられ、ギターに対する熱い思いが伝わってきました。学生たちにはその"思い"を感じ取り、これからも精進していってもらいたいものです。


次回は代官山音楽院・ギタークラフト&リペア科、顧問の植田秀男先生をお招きします。植田先生は国産初の量産型アコースティックギターの開発に携わり、国内の"アコギ"の普及に尽力された方です。特別講義ではその開発秘話や数々の伝説などをお話いただく予定です。お楽しみに。


ギターエンジニア特別講義!Vol.1「フジゲン株式会社」 - 代官山音楽院 公式ブログ「DMAの日常」