島村楽器テクニカルアカデミー 公式ブログ

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ギターエンジニア特別講義!Vol.1「フジゲン株式会社」

皆さん、こんにちは!

今日は、先日ギタークラフト&リペア科にて行なわれた「ギターエンジニア特別講義」の模様をお届けします。
 この特別講義は、普段学校でギタークラフトやリペアを勉強している学生たちに向けて、実際の現場で働いている方をお招きして、現場でのあんな話やこんな話、さらには学生たちへのアドバイスをして頂くという豪華な内容です。

 記念すべき第一回目は、日本屈指のギターメーカー「フジゲン株式会社」より、今福氏にお越し頂きました。フジゲンは島村楽器とも縁が深く、代官山音楽院でも木材の供給などでご協力をいただいております。
 今福氏は40年近くをギター製造の現場に身を置き、現在は様々な部署を統括するマネージャーとしての役割を担っており、自社ブランド「FUJIGEN」やOEM生産(発注元のブランドで製造すること)、様々なアーティスト・モデルの開発などを手掛け、さらには技術開発・試作・木材調達など幅広くご活躍されている、まさにフジゲンの顔とも言えるべき方です。

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<プロフィール>
今福 三郎氏 1957年10月生まれ O型 山梨県甲府市出身 57歳
趣味 フライフィッシング、家庭菜園
1975年 モーリス楽器製造入社
1982年 当時の富士弦楽器製造株式会社(現フジゲン株式会社)に入社
楽器製造会社に通算39年勤務
製造、技術、開発、営業、アーティストリレーション、企画、木材仕入れ、店舗販売を経験して現在に至る。
現在の仕事は、営業、木材仕入れ、直販部門、物流部門、アーティストリレーションを担当


それでは早速講義の様子を見ていきましょう。


フジゲンの歴史と技術

まず始めに今福氏の経歴やフジゲンの歴史・技術についてのお話がありました。

 フジゲンは1960年に「富士弦楽器製造株式会社」として誕生しました。牛小屋を改造した工場でスタートし、翌年には新工場をを建設、62年からはエレキギターの生産にも着手し輸出用のギターをメインに着実に歩みを進めてきました。1970年代はOEM生産に徹し、国内外の有名ブランドのギターを手がけ、1980年代には名実共に世界一のギター工場になりました。
その後、市場経済の変化などもあり変革を余儀なくされた富士弦は、89年に社名を「フジゲン株式会社」に変更し、これまでに培ってきた木工技術を生かした高級車用のウッドパネルの製造も手がけるようになります。そしてギター部門でも大きな変革があり、96年から自社ブランドを設立(現在の“FUJIGEN”)、2000年には自社製品を中心に扱う「フジゲンカスタムハウス」を東京・池袋にオープン。現在は「FUJIGEN」「FGN」の自社ブランドを中心にOEMでの生産も続けられています。

ちなみに代官山音楽院卒業生も工場やカスタムハウスで活躍しています。

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 講義では実際に今福氏がアメリカやカナダに行き、木材の調達をしている様子の写真などを見ながら進み、綺麗なフレイム・メイプルであったり、直径1.5mはあろうかというメイプルの丸太に学生たちも興味津々でした。フジゲンでは業者に任せがちな木材調達なども自社で行なっているんですね。
学校ではフジゲンから木材を調達していますので、学生たちは自分たちが製作で使っている木材が手間暇かけて日本まで来ていること知り、私としましても今まで以上に大事に使ってくれることを願います。

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 塗装(フジゲンでは“加飾”と呼ぶらしい)の技術はメーカーの差が出やすい上にギターのサウンドにも大きな影響を与えます。フジゲンでは塗料メーカーとタッグを組んで様々な塗料開発にも取り組んでいて、フジゲンが使用する塗料が業界の標準にもなっていたりします。ちなみに学校で使用する塗料もフジゲンを参考に仕入れています。

 フジゲンの専売特許「サークル・フレッティング・システム(C・F・S)」の開発秘話などもあり、学生たちに宿題が出されていました。

前半最後には、フジゲン・ギターの現在のラインナップが紹介され、それぞれのモデルの開発に至る経緯や設計思想、こだわりのポイントをお話いただきました。


学生たちへのエール!

特別講義後半は、まず学生たちの製作したギター・ベースへのアドバイスをしていただきました。

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学生が自ら今福氏に“プレゼン”するという形で自身の楽器を発表し、それぞれのスペックやコンセプト、どのような思いで製作したのかを緊張しながらも“売り込んで”いきました。幸いにもいずれの作品も褒めていただき、的確なアドバイスに学生たちも大いに勉強になったと思います。

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その後は企業として求める人材や必要なスキルのお話があり、「技術者にとってなにが大事なのか」や「楽器業界の今」など将来に直結する話に学生たちは真剣にならざるを得ません。

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学生からの質問コーナーも設けていただきました。学生たちは技術的なことが聞きたかったようでそのことに質問が集中していました。今福氏も持論を交えながら笑顔で答えていただき、実際の製造現場での考え方を知ることができ大変有意義なものになりました。

最後は場所をギタークラフト&リペア科教室に移し、実際に行なっている授業の様子を見学していただきました。学生たちが現在製作中のギターにアドバイスをしていただく場面も見られました。

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 いかがでしたか?今回の講義は2時間を超える大ボリュームで学生たちも大満足でした。
ご協力くださったフジゲン株式会社様、ならびに今福様、本当にありがとうございました。まだまだスタート地点に立ったばかりの学生たちですが、今回の講義を糧にきっと立派な技術者になってくれると信じています。


代官山音楽院・ギタークラフト&リペア科では、今後もメーカーの垣根を越えて様々な技術者をお招きしてこのような特別講義を開催していきます。

次回は国産ハイエンドギター・ファクトリーの「T's Guitar」、高橋社長をお招きする予定でおります。お楽しみに。