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ギター解体深書 〜ギターのメンテナンスと調整vol.1〜

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ギターについてのあんなことやこんなことを綴ってゆく「ギター解体深書」がスタートします!

皆さん、こんにちは。
今日からスタートするギター解体深書。月に1〜2回のペースで、ギターに関する様々な疑問を代官山音楽院ギタークラフト&リペア科講師が深く解き明かす、そんな内容です。第1回はギターのメンテナンスについて!それではどうぞ!

ギターをメンテナンス・調整することの意味

世の中には様々なタイプのエレクトリックギター・ベース(以下、ギター)があります。色や形、音色などの好みが人それぞれあり、自分の気に入ったギターを使っていくことになります。そうして使い始めたギターも時が経つと色々な不具合や気になる点が出てきます。時が経っていなくても一般的に市販されているギターというのは、標準的なセッティングになっていることが多いので、必ずしも自分自身にあったセッティングとは言えないことも多いと思います。

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そんな時皆さんはどうしていますか?ベストなのはプロのリペアマンにメンテナンスを依頼することですが、普段から依頼するのは中々難しい場合もあります。そこで今回は「自分で出来るメンテナンス・調整」ということで、普段のメンテナンスと簡単な調整の話をメインに、皆さんのギター・ライフが少しでも充実するようお役に立てればと思います。尚、すべての作業は内容をきちんと理解した上で自己責任において行ってください。時にはプロの技術者にお願いすることも必要です。

ギターの保管方法

まず、普段使用するギターはどのように保管しておくのが良いのでしょうか?最初に考えるのは環境です。これは端的に言うと「人にとって過ごしやすい環境がギターにとっても過ごしやすい」と言えます。木材で出来ているギターにおいて特に大事なのは湿度で、概ね50%前後がベストです。また、直射日光を避け風通しの良いところに吊るして置くのが、ギターにとって最も安らげる環境と言えます。ギター吊るすのは、住宅環境を考えると難しいかもしれませんが、専用のギタースタンドを使用すれば問題ありません。その際は、ギターの塗装の種類によってはゴムやけなどを起こすことがありますので注意が必要です。

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部屋に湿度計を置くなどして、乾燥時は加湿、高湿度時は除湿しましょう。


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壁に吊るすにせよ床に立てるにせよ、しっかりと安定していることが大事です。

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ラッカー塗料のギターはスタンドやけを起しやすいので注意しましょう。

弦をゆるめるか否かは昔から議論の多い議題ではありますが、個人的には、普段弾いているギターならばゆるめる必要はないと考えています。一方でギターをソフトケースやハードケースに入れて運ぶ際には、チューニングを少しゆるめています。また、アコースティックギターやベースもネックに掛かるテンションが大きいため少しゆるめてから保管するほうが良いと思います。この弦をゆるめるゆるめないはギターの個体差もありますし、一概にこうだと言えない部分でもあります。また、メーカーがどう保管するかの指定している場合もありますので、その時はその指示に従うことが賢明です。

弦の交換時期と弦のゲージ

弦は張った直後から劣化していきます。弾けば手汗や手垢が付着しますし、酸化も進みます。毎日弾いているのであれば、一週間程度で交換するのが理想的と言えます。そんなに弾いていない、経済的に厳しいという場合でも一ヶ月に一回は交換したほうがいいです。弦が劣化すると弾いたときの弦振動が不安定になるなどして響きが悪くなってしまうことがあります(逆に少し弾き込んだ弦のほうがいい音だというギタリストもいます)。また、錆びた弦を使い続けるとフレットの磨耗が激しくなったり、指が引っかかるなど良いことは一つもありません。

この弦に対するメンテナンスとしては、弾いた後にクロスで手汗などを拭き取ることが有効な手段の一つです。さらには弦に塗るクリーニング剤(ghsのFastFretなど)を使用するとより一層の保護効果が得られます。また、近年では弦そのものに薄い保護膜を施した「コーティング弦」もメジャーになり、各弦メーカーから様々なコーティング弦が出ています。コーティング弦は張りたての弦の響きが長く続き、錆などにも強い仕組みになっていて、1セットの値段は張りますがコストパフォーマンス自体は優れているといえます。

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クリーニング剤は弦の劣化を防ぐだけでなく、摩擦も低減してスムーズな運指を手助けしてくれます。

弦交換時に注意したいのは弦の巻き方・巻き数です。ここがうまく出来ていないとチューニングが狂いやすくなったり、弦がナットを押さえる力が弱くなってビビリが発生したりするなどの不具合が出ることがあります。

また、弦のゲージ(太さ)にも注意が必要です。ゲージによって演奏性や音色が変わり、一般的にゲージが太いと弦のテンションが上がり、サウンドはクリアになりますが弦を押さえる力が増えるためチョーキングなどが難しくなります。逆に細くなると演奏性は良くなりますが、テンションが弱くなるためビビリ易くなる傾向にあります。このあたりは完全に好みの部分なのですが、ギターは設計の段階で弦のゲージを想定して製作されますので、極端に変えてしまうとギターのバランスが崩れてしまうことがあります。

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弦交換時に「アルトベンリ」なストリングワインダーとネック枕

各メーカから色々なゲージのものが出ていますが、安易にゲージを変えてしまうとトラブルの基になることがあります。特にゲージを太くする場合はナットの加工が必要になることがあるので、プロのリペアマンに頼むようにしましょう。

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弦にはゲージだけでなく、素材や巻き線の巻き方などの違いがあり、それぞれに特徴があります。フラットトップ・アコースティックギターとエレクトリックギターでは張る弦の素材が違います。

いかがでしたか? 第一回ということでメンテナンスの序章でしたが、ここでは伝えきれないポイントもまだまだあります。もっと深く知りたい!という方はぜひ学校のイベントや体験会にご参加ください。ディープな話をご用意してお持ちしています。

次回は楽器のクリーニングについての話です。

ギタークラフト&リペア科 主任講師 今野

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