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島村楽器テクニカルアカデミー 公式ブログ

音楽技術専門の学校『島村楽器テクニカルアカデミー』の公式ブログ!音楽の職業・仕事を探す人は必見!

院外授業 小信 刃物作成工程の見学

本科1年生で院外授業が行なわれましたので、その様子をお知らせしたいと思います。

今回、訪問したのは西東京市にある小信という。彫刻刀や鑿など刃物を作成・販売している鍛冶屋さんです。


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弦楽器技術者にとって刃物は日常で欠かせない重要なものなので、その持ち味を十分に発揮させるための勉強は欠かせません。
しかし、それらの製作現場は、現代の都市環境の中では目にすることが難しくなっています。それだけに、今回のように見学させていただける機会を得られることは大変ありがたいことです。

見学中は、鍛冶の実演していただきながら刃物作成の各行程を説明していただきました。手順や内容が理解できていればひとまずの用は足りるかもしれませんが、現場を見て初めて、腑に落ちる、気がつく部分というのは必ずあります。一見関係ないように見えることでも何故だろうかという疑問を常に持ち、興味を示していくことは技術者としては欠かせません。

小信では一般的な鑿や彫刻等以外にも、特注を受付けていますが、国内に留まらず、ヨーロッパや海外からの引き合い例もある様で、その評判が伺えます。
時には今では製造者がいなくなってしまった道具の特注相談を受けることもある様です。伝統の中で培われてきた技術に用いる道具類には使用者もこだわりのある方が多く、何度も連絡を取り合い、場合によっては実際に依頼者と会ってお話をしながら、その仕様を詰めていく場合もある、というお話を伺いました。

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また、道具は作って終わりではなく、納めた後も使用感を伺いながら数年をかけてよいものにしていかれるそうです。今回は特別に「漆掻き」の専門道具を題材に実際に今取り組んでおられることを聞かせていただきましたが、学生も道具を扱い道具を作る技術者の道に入った者として、共感するところが多くあったのではないでしょうか。


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見せていただいた特殊な形状の刃物

弦楽器も製作して納めてしまえば終わりということはありません。むしろ音楽の道具としての楽器は、納めた時がむしろスタートです。演奏家の方に使っていただきながら、年月を経るにしたがって変化していく楽器の様子を観察しながら、調整を続けていく必要があります。よい道具、必要とされ、使われ続ける道具というものはみなそういう性質をもっているものなのかもしれません。
現代の難しい都市環境の中で、昔ながらの実直な仕事を続けておられる小信の斉藤さん始め、職人の皆さんの背を見てよい仕事ができるよう修練を積んでいきたいと改めて思いました。

小信の皆さんにはこの場を借りて改めて、今回の見学のお礼を申し上げます。私達も作っていただいた道具に応えられる、本当に演奏家の方に喜ばれる仕事ができるようになることを目指してがんばっていきたいと思います!