島村楽器テクニカルアカデミー 公式ブログ

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バイオリンクラフト&リペア科 秋の院外授業レポート2013~名古屋編

前期試験も終わり、一息

実践を見る機会としての院外授業

音楽院の外で、企業やメーカーを訪問させていただき学ぶ院外授業は、普段の基礎訓練を一歩越えた実践の現場を見せていただける機会と言えます。
そこで学ぶことの多くは、すぐに日々の授業に生かせることばかりではありません。しかし、技術者・職人としての経験を積んでいる中で興味の幅を広げ、記憶の底に糧として残る様な出会いや勉強をしてほしいと考え実施をしています。

老舗楽弓メーカーの見学

院外授業のポイント

院外授業において、大事だと思われることの一つは、専門的な内容に触れるということももちろんですが、それと同じぐらいプロの職人に出会うということです。普段指導をしている講師とはまた別の真摯な先達の姿勢にふれることはよい刺激になると考えています。
今回は本科2年生及び、夜間部生の希望者が名古屋の杉藤楽弓社さんを訪問させていただきました。

老舗・杉藤楽弓社の100年

杉藤楽弓社さんは、100年以上、5代にもわたって日本の楽弓作りを支えてこられた老舗メーカーです。
9月とはいえ、まだ日差しの強い名古屋市内を歩いて到着した工場では、杉藤慎子社長と工場長のご案内をいただき弓作りの工程を、材料の荒取りから順に追って見せていただきました。
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工場長と工程を担当される技術者の方から説明を受ける受講生たち
材料の荒取り工程では、仕入れた材料の半分以上が弓としては使えないという話も伺う

印象的だったのは、量産メーカーというと、多くの方は木材が機械を通って、弓が出てくるのを想像されるかもしれませんが、実際には工程の重要な部分には人の目と、人の手が非常に入っており、かつ一つ一つの工程に熟練の職人さんが丁寧に取り組まれているところです。

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荒取りされた弓材は熱で曲げられた後で、楽弓としての姿に削られていく
曲げと削りそれぞれを担当される方の寡黙な姿

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仕上げの削りと磨きを通して弓が仕上がっていきます

本科の2年生はちょうど前期の試験も終え、各々が自分で行ってきた「弓の毛替え」や「弓のメンテナンス」に様々な課題を感じている時期でもあり、非常に具体的な視点から見学をすることができたのではないかと考えています。

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学生がラッピングに挑戦させていただく一幕も!(難しさを痛感しました)


杉藤楽弓社さんの見学は午前中に行われたのですが、興味のつきない様々な工程を見せていただくことで、学生からは、もっと長い時間滞在し、仕事の工程を見てみたいという希望も聞かれたほどでした。

また2年前にも感じたことですが、杉藤楽弓社の弓はそのかけている手間と比べると非常に値ごろ感があるということです。特にあれほどの手間をかけながら、100万円を超える価格帯の弓がないということは驚嘆に値します。できるかぎり多くの方に音楽を普及していきたいという姿勢の結実と思います。

短い時間の見学でしたが、貴重なお時間を割いていただいた杉藤楽弓社の杉藤慎子社長はじめ、工場の皆様にはこの場を借りて改めて御礼申し上げます。またお会いできる機会を楽しみにすると同時に、杉藤楽弓が生かされる立派な楽器の製作をこれからも志したいと思います。